社長コラム 石のことば
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2006/01/19
第3回 「墓石の色と地域性」

コラムをお読みのあなたに質問です。
 『お墓の石といわれたら、何色を思い浮かべますか?』
 大袈裟かも知れませんが、その答えた色で出身地や育った地方が分かるかも知れません。

 今でこそ、ピンク系や赤系、茶系といった色の墓石もでるようになりましたが(この提案を積極的に進めたのは当社でもありますが)、もともと従来からのイメージでは「白」「グレー(灰色)」「黒」等が一般的でしょう。
 これは、自分の実家や親戚のお墓の色や、その地域で一般に建てられている墓石の色を思い浮かべるからです。

 実は、日本人の6 7割くらいの人は「白」をイメージします。白といっても純白ではなく、ゴマ塩模様の石の色です。また東北地方の人は、ほとんどが「黒」のイメージです。関東でも昔からのいわゆる江戸っ子は「うす緑がかったグレー色」を墓石の色と感じています。また一部、九州の北部の人も「灰色」を墓石の色合いとしてとらえます。
 なぜ、地域によってイメージが変わるのでしょうか?

 理由は、人間の心の奥底にある親しい人への供養の想いがもたらした、長い間の慣習のせいです。家族や親しい人が亡くなって、その思いを石に託したのは、何も今に始まった事ではありません。
 太古の昔から人々は埋葬し、そのシンボルとして石を使ってきました。当然、昔は石の加工は大変ですから、その辺にある手頃な石を持って来て供えました。近くにある石、近くから採れる石がその地域の人々にとってのお墓の石だった訳です。
 つまり、墓石の色の地域性は、その地域から採れる石の色による事で、別に性格や宗教によるものではありません。

 花崗岩(みかげ石という)は、鉱物の含有成分から白色や薄い桜色のものが多く、世界中で一番多く産出されます。当然、日本の国土でも多くの白みかげ石の産地があります。
 ところが東北地方には、世界的にも珍しい黒系の石が産出されます。宮城県の稲井石(粘板岩)、泥冠石(安山岩)、福島県の鍋黒石や浮金石(黒みかげ石)等、黒色系が多く採れます。
 関東地方では、神奈川県の小松石(安山岩)が歴史も古く、江戸城の石垣にも使われていますが、「うすいねずみ色」です。山梨県の山崎石(安山岩)もやはりグレーで、地元では人気の色合いです。
 つまり、大昔から使われてきた地元の石の色が地域の墓石の色として定着していきました。
 ですから、一部の占師が「墓相」と称して、墓石の色を指定し「黒い墓は……で、白い墓は……」と言っているのは、上記の流れを全く無視していて何やら不信を感じます。

 現在では、採掘場の環境問題や産廃の問題、人件費コストの理由などにより、地元産の石は採れなくなった代わりに、流通が整い、世界中からより品質の良い多種多様な石材が輸入されるようになり、今ではあらゆる色合いの石でお墓を作ることが可能となっています。
 地域や条件に関係なく、自分の感性に合った色とデザインでお墓を作れる、良い時代になったと思います。

2006/01/13
第2回 「石の産地とワインの産地」

この仕事を始めてから世界中の石の産地(石材の採掘場を丁場<ちょうば>と呼ぶ)を見る機会に恵まれるようになりました。
 ただし、どの国に行っても石の丁場は都市部や観光地には無く、いわゆる山奥の田舎にあるのが普通なので、有名な観光スポットは通り過ぎて、聞いたこともないような地方のドサ回りをしています。
 旅行ガイドブックに載っているような、おいしいレストランやホテルには縁が無い代わりに、地元の人だけが知っている郷土料理や地酒など、そこでしか味わえないという貴重な体験を多くできました。

 大理石の丁場の多くは、ヨーロッパの特に地中海沿岸地域に集中しています。大理石は石灰が変質作用で固まった物ですが、その石灰の元はサンゴ礁や動植物の沈殿から始まります。大昔は海中であった所が大理石の産地なのです。
 地中海に突き出たイタリアは、その国土のほとんどが大理石層になっていて、日本人になじみの深い白大理石(ビアンコカララ)もイタリアの北部から採掘されています。

 イタリアの他、フランス、スペイン、ポルトガル、ドイツ等も石の産地としては有名ですが、これらの国に共通の有名な食品はご存じですか?大理石を検品してから、現地の人と食事に行くと、食卓テーブルに必ず載っている物、そう地元産のワインです。
 大理石が採れる土壌は、いわゆる石コロだらけで土地が痩せていて、普通の植物は育ちません。また水はけが良すぎるのか、土はいつも乾燥しています。ところが、ワインの原料であるブドウが育つためには、その条件がピッタリ当てはまるのです。さらに石灰質には多くのミネラル分が含まれているので、「大理石の産地」=「ワインの産地」でもあります。

 先程の白大理石(ビアンコカララ)の産地は北イタリア トスカーナ地方ですが、そこの地元ワインは世界的にも有名なキャンティクラシコです。フランスの赤系大理石(ルージュランゲドック)はプロヴァンス地方、グレー系大理石(パロマ)はボルドーの南150Kmの地域、スペインのベージュ系大理石(クレママーフィル)ははバレンシア地方と全てワインの有名産地と一緒です。
 もっとおもしろいのは、石の名前とワインの名前が全く同じものがあり、石屋の私にとっては、その石を溶かしたらこんな味になるのかな、など、一人空想しながらワインを飲むのも、楽しみのひとつです。

 そういえば、今は亡き尊敬する業界の大先輩社長は、世界中の石山を歩き、流れてくる川の水を舐めただけで、その上流にある良い石の鉱脈の存在を言い当てたという伝説が残っています。
 やっぱり石にも味の違いがあるのかも知れません。

2005/12/28
第1回 「石が語るもの」

今回ホームページをリニューアルしたら、「社長コラム・石のことば」を定期的に掲載するよう業務命令がありました。(誰から?)

 思いつくまま、今までの石との思い出を書いていこうと考えていますので、気軽にお読み下さい。

 仕事柄か、出張に行っても外出しても、ついつい石があると石に触れたり立ち止まったりしてしまいます。現在我々が扱っている石の平均的な大きさと言うと、ビルの内外壁に貼ってある建築用石材でも、一枚の大きさは、90cm×60cm×3cm位、40 50kgまでの重量が多く、人力でも何とか持ち上げることが出来ます。また、墓石用の場合はもう少し重く、30cm×30cm×80cm、約200kgから、90cm×90cm×30cm、約600kg位までの各パーツを機械を使って組み立てて、総重量3 4トンというのが平均的です。

 つまり、我々が目にする石は、工場で加工され易く作業しやすい大きさになっているのが普通と言えます。

 ところが、大阪城で石垣を見て、とてもビックリした思い出があります。

 ひとつの石の大きさが5.5m(550cm)×11.7m(1,170cm)×0.9m(90cm)あり、重量は何と!!130トンもあります。

 石というよりは岩そのものですが、表面はきちんと平らに加工されていて、ちゃんと手が加えられています。大阪城桜門にある通称蛸石と呼ばれる石で、ご覧になった方も多いと思います。この石の産出地は岡山県の犬島という、瀬戸内海の小さな島です。

 今の技術でも、今あるどんな機械を使っても、こんなに大きな石は採掘も運搬も加工も出来ません。一体全体どうやって掘り出し、運び、組み上げたのか、あまり資料も残っていません。

 今から400年前の人々にそれを聞くことは出来ませんが、それに関係した人々の想いや、当時の苦労は石が語りかけて来ているように感じます。各地の大名が競い、それぞれの石職人のプライドをかけて、日本中から石が集められた。まるで石のチャンピオンを目指すかの如くに…。

 大阪城にある巨大石は蛸石を含め100トン以上が4ヶ、50トン 100トンまでが6ヶあり、一覧表にして城内に表示されています。(写真参照)

 当時の人々のすさまじいエネルギーが感じられるよう、静かに蛸石に手を触れてみようと思いました。

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