今回はその都営谷中霊園で起きている現代風景について書きたいと思います。
青山や雑司ヶ谷、谷中といった都心の一等地にあり、そして著名人も眠るこれらの霊園にも現代風のお墓事情が影響してきています。
それは「墓じまい」というお墓の片づけの流行です。
それはお墓不要論でもなければ供養心の欠落でもありません。何故なら新しい形でのお墓の流行も出ているからです。今までの誰もが一定の区画を占有して、自家の親、祖親、高祖親など所謂祖先の霊を代々祀り継続していくあり方に、将来の見えない現代人が不安をもって先に自分の代で片づけてしまうという兆候がマスコミ等によってさらに煽られてしまっているという流れです。
業界の中にいるとよく分かりますが、今でも10人いればそのうちの8人は普通のお墓を希望している方が多く、ただそこに将来への不安と子や孫など所謂子孫への遠慮で、手間のかからない簡便なお墓を検討する方が多くなっているというのが実情です。
勿論、金銭的な問題もあり低予算で済ましたいという経済的な理由もあると思いますが、実状は上記のように本来は普通にお墓を遺したいというのが多数の希望ではあります。
そんな中で一気に合祀墓(ごうしぼ=他人と一緒にお骨を埋葬する合同墓)は行きたくない、でも大きなお墓は持てない、持ちたくない、という方に小さな樹木葬タイプの小型個別墓や個別納骨が可能な納骨堂や壁墓地が一部で流行のようです。それらの新タイプの墓地も新規で大きく造成して開園する霊園もあれば、お寺の旧墓所や都営霊園の数区画をまとめて改修し墓所の再販を行うところもあります。
今回この谷中霊園ではちょうど墓じまいをしていました。
作業をしている職人さんに確認したら、こちらは墓所を墓石ごと片づけてお骨を丁寧に取り出し別な墓域で小さい墓石にリニューアルして納骨、この墓域はさすがに人気があるらしくそのまま別な抽選で再貸出しして、別な方が一般墓を建てるようになっているとの事でした。やはり、便利のいい場所はお墓も人気ですね。
同じ谷中霊園の中に先程触れた樹木葬タイプの小型個別墓所エリアや、その少し先には立派な石のドーム(建物)の個別室内納骨堂もあり、まさにお墓の多様性を感じる霊園です。
前回記載したその先の徳川15代将軍慶喜の墓域に向かう道沿いを歩きつつ、日本の墓石の未来と永続を考えさせらる景観でした。


