社長ブログ

第230回 「シチリア島 石紀行1」

    今まで石の仕事でいろんな所を訪問させてもらいました。

     距離の関係からもアジアは一番多く、石の産地の中国、韓国、ベトナム、インドなどは頻繁でしたが、遠くヨーロッパも特に大理石では世界的にも有数のエリアである、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャなど仕入や検品でよく行きました。

     特にヨーロッパの中では大理石の宝庫であるイタリアにはかなり行っており、エリア的にもほとんど網羅っしているような気がしていました。

     でも実際にはイタリアの地図をブーツの形で言うと爪先の前にある島シチリア島は今までに行くことがありませんでした。

     首都パレルモの南西部に大理石産地があり、日本にも数種類のシチリア産大理石が入ってきていましたが、品質に汎用性が少なく使う業者もある特定のゼネコン(フジタなど)と特定の設計士が指定する程度でなかなかメジャーな石で無かったこともあり、イタリアでもシチリア島には接点が少なかったと思います。

     イタリア半島のもう一つの島サルディニア島は、こちらは実は大理石でなく花崗岩の著名な産地で日本でもサルディニア・ホワイト(別名ルナ・パール)やサルディニア・ピンクと言った中国から安価な花崗岩が出るまでは圧倒的に日本市場を席巻した建築用の花崗岩がここサルディニア島の産出だったので、実際には採掘現地である島の丁場までは行かなくとも写真や会社取引でとても身近だったことから、唯一シチリア島だけが私にとっての未踏・未自覚の地域となっていました。

     
     話は変わって世界遺産登録というトレンドがあります。
     昔は別にそれで訪れるという事も無かったのですが、世界中で世界遺産に登録されたというと見てみたい、行ってみたいという人が増えて各国各地で世界遺産認定登録を狙っているのが観光地の主流になっています。

     世界遺産の数では国別で世界第1位が何とイタリアで全部で59件(箇所)あります。
     ランキングでは2位が中国で57件、3位がフランス、ドイツの同数52件と続きます。
    ちなみに日本は世界第11位で25件だそうです。

     イタリアはローマを中心に世界遺産が全土に存在しますが、このシチリア島も多く、シチリア州には7件の世界遺産があるとの事でした。

     
     トレンドに乗ったわけでも、ミーハーなわけでもないのですが、今回移動の途中(実際には大きく回り道でしたが)シチリア島南部の世界遺産アグリジェントの神殿の谷を見てきました。

     ここはイタリアと言うよりも何かギリシャを思わせる景観です。

     具体的には次回のお話としますが、この神殿の谷と言われる狭いエリアに7つの石造の神殿遺跡が密集しています。

     そしてそれらはローマ時代よりも古く、紀元前5世紀のものであり、ギリシャ人により建てられたものです。

     何より石屋の私を驚かせたのは、白大理石を使ったギリシャアテネのパルテノン神殿や石灰岩(トラバーチン)を使ったバチカンの大聖堂など、少なくとも大理石、石灰岩、場合によってはもっと硬い石を使って作ったからこそ現在まで残ってきたものと考えていました。

     ところがところが、この紀元前5世紀に建てた神殿の材料は、凝灰岩です。

     ここのところ数回当コラムにて凝灰岩については記載してきましたが、当社の創業の石であり、松島湾を形造っている石であり、軟らかくて風化が早く、中の空気層が多くて水や空気の浸潤により永い年月の使用には適さない、、、、

     それがここでは2,500年もそのまま建ち続けている。

    ここで代替の石が無かったとしても、凝灰岩がこんなに残っているのにびっくり仰天です。

     
     赤茶けた模様の無い土色の石がこの地の凝灰岩ですが、さすがに白い大理石で作った経験のあるギリシャ人は、形は同じように凝灰岩で作った上で故郷の風景を思い出して、白い顔料を塗ってまるで白大理石の神殿のように見せていたのでしょう。

     現地の解説で白ペンキが残ったままの柱の説明を受けて、自分の目の前に当時の神殿の眩いばかりの白い神殿の映像が浮かんでくるのを否めませんでした。

    第230回 「シチリア島 石紀行1」

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