前回は千葉県の通称鋸山の石についてでしたが、今回は山形県の山寺の話をしようと思います。
私たちは通称で山寺と言っていますが、正式には立石寺(りっしゃくじ と読みます)という比叡山延暦寺を本山とする天台宗の寺院です。
場所は山形市内ではありますが、中心部からは車で30分程も山の中に入ったほぼ行き止まりの奥にあります。
創建が860年と言われていますので、奈良や京都の寺院を除けばかなりの歴史を有するお寺になります。
(ちなみに比叡山延暦寺の創建が788年で有名な宗祖最澄によって建立されたとなっていますので、それからそう遠くない時期に、こんなに遠い場所に作ったことにも驚きです)
そんな由緒ある立石寺ですが、私たちがここを訪れるのは一つは松尾芭蕉の発句の場所であったことが奥の細道に書かれているからです。
「閑かさや 巌にしみいる 蝉の声」
学校の教科書にも載る定番中の俳句ですので知らない人はいないでしょうが、本当に蝉の声も周りの岩の様子もそして体感の温度さえも想像できる17文字です。
地元や近隣の者にとっては、その芭蕉の句以上にここに来る理由があって、それは参詣というより、観光というより、ミニ登山、或いはトレッキングの要素がふんだんにあるからなのです。
実はこの登り口から頂上?奥の院までは階段数で1,015段あり、ちょっとした運動のつもりでここを訪れる人が多いです。
標高差で言ったら159メートルあり、低山登山ならそのくらいの山もたくさんあります。
途中には休み処もあれば茶屋もあります。
まさに最高の鍛錬コースで通常片道30分~40分、ただひたすら上り続ける苦行?です。
今回10年ぶりくらいに登って驚いたのですが、以前はその1,000段以上の階段をほとんど休むことなく登れたのですが、今回は途中で3回大きめの休憩を入れないと体がついていけなかったことに驚愕と共に苦悩を感じえませんでした。
こうして徐々に基礎体力がなくなるものかと改めて健康維持の運動の重要さを実感しています。
そうして何とか登った先にあるのは、満足感と共に絶好の景色です。
いくつかある絶景ポイントの一つ五大堂からの眺めはまさしくそこまでの苦労が一瞬で飛んでしまう景観です。
この風景を見るために登ってきたのだと思わせるほどの絶景です。
さて今回の「石」の話は?
芭蕉の句の「巌にしみいる」ですが、通常の「岩」でなく「巌」という意味が現地に行くとよく分かります。
山寺の山自体が凝灰岩の「巌」なのです。
ですから、1,000段以上の階段もそこで掘った巌で、奥の院などの堂塔も巌の上に作り、修行僧が掘った仏像も全て巌の中でのことです。
言ってみれば山寺自体が「巌山」なのです。
登って休んで汗が引いてから帰りは下りになりますが、何と下りの階段も老体にはきつく、やはり30分以上を要しました。
下ってからのご褒美は、山寺名物の玉こんにゃくの串です。
しょうゆ味で煮込んで、だしには山形特有のイカゲソ(するめ?)を煮込んであり、辛子を付けて行き帰りの苦労を味覚で忘れさせてくれる絶品です。
一つだけ難を言えば、数年前には一串に4つの玉こんが刺さっていましたが、物価高騰の折今回は一串3個だったのが残念でしたが。


