今回は沖縄のお墓について書きたいと思います。
日本全国にはお墓の好みや流行などの違いと共に、形状も北と南、西と東で多少の違いがある事は事実としてあります。形状で言えば和型と呼ばれる伝統的な墓石の棹石(仏石ともいわれるお墓の本体石)にも頭(四角柱の上辺)が小段になっていたり曲線だったり斜めの傾斜になっていたりと専門家が見ればこれはどこの地方、こちらはどこのエリアの形と千差万別程の分類となります。
また、その本体石の下に蓮華台とか布団台とかの石を置いて、さらにその下に中台、下台、四ツ石台などを重ねて重厚さを出したりしてこれも地方色豊かな違いになっています。一般的な和型のお墓でもそれだけの違いがあるので、近年流行の洋型墓石では何百、何千という形状の種類になるでしょう。
更には地域ごとに石材の色や材質の好みもあり、その分類は数限りません。
ところが、いわゆる本州(北海道、四国、九州を含めた日本全域)のお墓は誰が見てもそう大きくは違わず、一目でお墓と分かるものばかりです。でも、沖縄のお墓は全く違います。見たことの無い人はあれは何?と首をかしげると思います。沖縄では普通に車で走っていると、道路の脇に屋根に覆われた建物が突然見えてきます。
しかも山の中とか奥地とかでなく普通に生活用の道路であり、特に海が見える眺めの良い高台などの好立地にそれが並んでいます。まるで小さめの個人の住宅、石貼りの別荘のような建物が並んでいるのです。
実はそれが沖縄のお墓です。
屋根があってお墓本体の前の敷地が広く、そこで親族が集まって納骨後に宴会をやるそうです。
まさに「故人の家」です。
代々の先祖が眠る家にその子孫が集まって会食しあう。ルーツに感謝し未来に伝える。
本来のお墓のあり方が、この琉球墓のスタイルなのですね。
近年は総石張りで少し敷地も小さく、屋根も小振りになりましたが、もともとは風葬の習慣で数年後にお骨を洗って(洗骨)から納めるので納骨室は敷地の割には大きくなく前の広場(敷地内)を大きくとっています。
また従来から台風などに飛ばされないコンクリート製のお墓が多かったとの事です。最近はこのコンクリート製のお墓を解体して石に替え、墓域内の土のままの広場も(昔はここに埋葬したからでしょうか?)今は土である必要が無くなって手入れの容易い石貼り床がほとんどになっていました。
宮古島の道路から見えた琉球墓の一群に思わず車を停め、周りからは異様に思われないかと、遠くの海を眺めるふりして、沖縄のお墓に見入ってしまいました。


